“まるごとチキンレッグ”。
このめちゃめちゃ強そうなパワーワードを聞いて、まず何を思うだろうか。
筆者は生粋のジャ○プっ子。腕の伸びる麦わら少年や、絶対に忍道を曲げない忍者少年と共に成長してきた。絵に書いた様なマンガ肉、現実的じゃない量の器が重なったラーメン屋など、男心、否、少年心をくすぐる描写に囲まれて生きてきた筆者は、まずこう思った。
美味そう。
イメージとして近しいのは、東京じゃないのに東京にあると言い張る某夢の国で、根強い人気を誇る食べ歩きスナック『スモークターキーレッグ』。大の大人が片手で握りしめ、大口を開けてかぶりつくことが出来る、数少ない“肉”だ。
ただ肉であれば良いわけではない。味付け云々の話でももちろんない。
“筋肉”という最も食べごたえのありそうな部位を象徴する、“チキンレッグ”というワード。
そしてそれが“まるごと”入っているという表現。“チキンレッグを使用しています”という言葉では言い表せないパワー。端的で破壊力のあるワード、「まるごとチキンレッグ」。
このワードを聞いた時点で、筆者の唾液腺から口腔内に喜びの滴が雨のように降り出し、体内の消化器官がエンジンを吹かし始める。
なんだこのそびえ立つ巨塔は。
レトルトカレーというと、長方形の薄い箱のパッケージがほとんど。実際、多くのものが同型をなしているのは周知の事実であろう。しかし今回のレトルトカレーは、言うなれば巨塔だ。そびえ立つ巨塔。遠目に見れば、シャンパンの小ボトルとも見紛うかもしれない。
この『野菜とハーブが香る札幌スープカレー』とやらは、文字だけではなく、この堂々たる出で立ちからも圧倒的な高揚感を演出してくれる。「この中にチキンレッグがまるごと入っていますよ」と全力でアピールしているのだ。
筆者の消化器官はエンスト寸前。作り方をよくも見ず、フツフツと沸き立った熱湯の中に投げ入れ、お皿に炊きたての白いご飯を用意していた。
圧倒的存在感を放つまるごとチキンレッグ。
出来上がったパッケージから放たれる今回の主役は、器というステージを完全に独占していた。他の具材など寄せつけない、俺だけで十分だという雄々しさを感じさせるその“まるごとっぷり”。期待を裏切らないその風貌。
写真という過去の姿になってさえもまだ、食欲に強力なストレートを打ち込んでくる威風堂々とした姿に、筆者は今この記事を書いている途中も涎を垂らさざるを得ない。
スープの油がチキンレッグから湧き出た旨味成分だとしたら、この一品は完成されすぎている。
昨今、コミュニケーションインフラとなりつつあるSNS『Instagram』では、ほぼ必ず投稿に用いられるハッシュタグというラベルがあるが、ぜひとも「#うまさとはカロリーだ」「#うまカロ」というワードを検索してみてほしい。
言い得て妙、というべきか、カロリーと旨さは“比例する”。(※筆者の高校時代の先輩が、良くラーメンの投稿で使っているので引用した)
総評
旨さ:★★★★☆
見た目:★★★★☆
辛さ:★☆☆☆☆
味は言うまでもない。むしろ筆者ごときの文才で、この一品を物語るのはおこがましい。
“一口頬張れば、着ている服が弾け飛び、異世界のビジョンに包まれるレベル“と評させていただこう。
野菜とスープが香る札幌カレー、おあがりよ。