博多の名店「ナイル」の甘口カレーから、ついに“おふくろの味”を解明した

おふくろの味。

老舗料亭のみそ汁や肉じゃがの美味しさを形容するとき、よく使われる言い回しでありますが、果たしてその定義は何なのでしょうか。

「世代によって違うよ」「地域によって違うだろ!」「いや、家庭ごとに違うんだ!!」などと、おふくろの味論争は絶え間なく続いてきましたが、今宵、そんな無益な論争に筆者が終止符を打ちます。

 

前提

おふくろの味、つまり母親がつくってくれる料理はたしかに地域や家庭によって差はありますが、“子どもが好きなもの”であることは間違いないでしょう。

例えばカレーやオムライス、これらからおふくろの味を感じることはできるかと思います。しかし、ホタルイカの沖漬けやアンコウの肝がおふくろの味だと言う人は少ないでしょう。また、“おふくろの味=おふくろがつくる味”というイメージがあるので、缶詰などの既製品も含まないこととしましょう。

ということで、この記事では「子どものころに好んで食べた母親の料理の味」を“おふくろの味”とします。

 

「おふくろの味」の共通点

おふくろがつくる料理にはある共通点があります。それは“うま味”です。

カレー、みそ汁、オムライス、肉じゃが……どんなおふくろの料理にもうま味が入っているのです。

では、うま味とはなにか。

 

うま味とは

うま味とは、グルタミン酸やイノシン酸と呼ばれる物質のこと。これら物質が含有された食材が舌に触れたとき、人は「美味い」と感じる仕組みになっています。

グルタミン酸は野菜を含む多くの食材に含まれており、イノシン酸は動物の肉に含まれていることが多い模様。

それぞれ単体でもうま味を感じることはできますが、同時に摂取することで相乗効果を発揮し、より美味いと感じることができるようです。

 

それぞれの料理に含まれるうま味

例えばみそ汁。出汁を取るときに使う昆布にはグルタミン酸が、かつお節にはイノシン酸がそれぞれ大量に含まれております。それらを煮てとった出汁から、うま味を感じることができます。

肉じゃがもそうです。じゃがいもに含まれるグルタミン酸と牛肉のイノシン酸が相乗効果を発揮するようです。あの味わい深い美味しさは、ジャガイモと牛肉の合わせ技によるものなんですね。

 

結論

よって、「おふくろの味とはうま味のことである」と言えるでしょう。

……しかし!

 

なんだか面白くない!

「おふくろの味=うま味」って結論、面白くない!

と思った筆者。さらに調べてみると……ありました。

ほぼ全ての人類が、生まれて最初に口にする共通の食べ物に、うま味が。

 

こんどこそ、結論

ほぼ全ての人が、生まれてはじめて口にする共通の食べ物、それは……

_人人 人 人 人 人_
>    母乳       <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

実は、母乳にもグルタミン酸が含まれているのです。

母乳に含まれるグルタミン酸=うま味の記憶が、大人になったとき、うま味=懐かしい=おふくろの味と連想させるのではないでしょうか。

 

博多の名店「ナイル」のカレーは”おふくろの味”なのか

長くなりましたが、ここからが本題です。

そもそも、おふくろの味を定義しようと思ったきっかけは、今回レビューするレトルトカレー『博多の名店ナイル監修 甘口カレー』のパッケージ裏に「おふくろの味」と書かれていたことです。おふくろの味と銘打ったカレーにはどんな材料が使われているのか? パッケージ裏を見てみましょう。

ご覧のとおり、グルタミン酸を含むたまねぎ、人参、にんにくなどが入っており、イノシン酸を含む牛肉も含まれています。甘口の味付けも、「辛口が食べられなかった子供時代」を思い出させ、“おふくろの味”を後押しするのでしょうか。

さて、果たして“おふくろの味”はどのように再現されているのか。

dav

 

実食

IMG_20180516_123246.jpg

ルウはサラサラとしており、えんげ力の低い子どもでも食べやすい仕様になっております。そして子どもが大好きであろうお肉が、小さなお口でも食べやすいサイズに入れられています。このサイズなら同じ量でもいっぱい入っているように見えてお得感がありますね。

dav

 

感想

うまい! たしかに“おふくろの味”がしました。

……まあ、じゃがいもと牛肉が入っているので、うま味を感じるのは当たり前ですが。食べる前から分かっていました。原材料を見れば一目瞭然です。甘口とか関係ないです。

あと、うま味物質なんてものは大概の食材に入っています。多分そのへんの草とかにも微量ながら含まれていると思います。ですので、言ってみれば全ておふくろの味です。そして散々言いましたが、やっぱり地域や環境によっておふくろの味は異なるもの。結局は、その人がおふくろの味だと思ったものがおふくろの味です。答えなんてないです。全ての母親がみそ汁や肉じゃがのようなちゃんとした料理つくっているとは思いません。缶詰で育った子もいればポテチで育った子もいるでしょう。

 

全国のママさん、安心してください。毎日手づくりの料理じゃなくたっていいんです。たまにはお休みしてカップヌードルにしちゃいましょうよ。カップヌードルにもうま味は入っていますから。なんなら日本を代表する大企業が時間とお金をかけて開発した主力商品なので、あなたがつくる料理より美味しいかもしれません。ここはインスタント食品に任せて、休憩しましょう。ママ業って大変ですもん。

ですから、「おふくろの味を押し付けるな!」「食卓に缶詰を出したっていいだろ!」「こっちは忙しいんだ!」みたいな怒りはお収めください。食卓に缶詰を出したとしても、子どもたちが喜んで食べるなら、そこに愛があれば、それがおふくろの味になるでしょう。

 

総評

カレーの味  ★★★★☆

辛さ     ★☆☆☆☆

おふくろの味 ★★★★★

 

【参考】
特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンター

味の素商品情報サイト「うま味アカデミー 講座5 身近な食品に含まれるうま味」

【画像】

ぱくたそ

博多の名店ナイル監修 甘口カレー 200g

博多の名店ナイル監修 甘口カレー 200g

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。